【第5回】ものづくり補助金申請の心構え

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【第5回】ものづくり補助金申請の心構え


第5回ではものづくり補助金申請の心構えについてご説明します。

 


●取消・返金を求められる可能性を知っておくこと

ものづくり補助金では、いろいろな場合に取り消されたり、補助金返金を求められる可能性があります。

申請内容に虚偽があったり、事業遂行上に不正があったりした場合はもちろんのこと、それだけではありません。

それ以外の例としては収益納付や目的外使用などがありますので、以降で説明していきます。

 


●収益納付というルール

例えば「収益納付」というルールがあります。これは「ものづくり補助金で、たくさん利益が出たら、上げた補助金を返してよ」というものです。

「えっ!?補助金なのに」と思われる方もおられるかもしれませんが、「補助金なのに」です。

具体的に説明しますと、補助金をもらった後、5年間の事業化報告が義務付けられています。

この事業化報告は毎年4月~6月の3カ月間の間に1年間の補助事業の売上・原価をWebシステムに報告するものです。この事業化報告で示された利益が、補助金対象経費の自己負担額を超えた時に、収益納付が発生します。

ちなみに補助金対象経費の自己負担額というのは、ものづくり補助金の場合、例えば対象経費の2/3に補助金が支払われると思いますが、このとき自分で最終的に支払った残り1/3の経費のことを指します。

事業化報告は5年間ありますので、3年目くらいに突然「収益納付が発生したので、補助金を返金して下さい」ということになります。

ですので、この事業化報告の際は、どんぶり勘定で売上・原価を計上しないで、特に減価償却費など、出来るだけに正確に行い、過剰な利益を申告しないようにご注意して下さい。


●目的外使用というルール

目的外使用は、補助事業を実施するために補助金を活用した50万円以上の設備を、異なる目的で使用することを言います。

異なる目的というのは、例えば譲渡・貸与・廃棄などが該当します。

よくあるのは、補助事業のためにAという設備を買ったのだけど、事業が失敗してしまったので、売ってしまいました。といった場合です。この場合に補助金の返金が求められます。

ここで注意が必要なのは、不要になったので廃棄した場合、買取額は0円な上に廃棄費用などが掛かってしまうこともあります。このような金銭面でマイナスであったとしても目的外使用による補助金の返還は求められるということです。(このときの変換金額は残存簿価等で定められるようです)

ですので、仮に補助事業は不発であったとしても、工場の片隅には5年間置いておいて、こういった支払が生じないようにするなど、注意が必要です。

 


●一般の商慣習と異なることも…

ものづくり補助金では、様々な証憑管理が求められます。具体的には見積依頼書・見積書・発注書・注文請書・納品書・請求書・検収書・振込明細・通帳の写し・領収書などです。これを大切に管理しておくことは言うまでもないのですが、一般的な商慣習ではやらないことも結構あります。

その最たるものが見積に関する取扱いです。上記にも記載しましたが、まず「見積依頼書」というのを見積を取る際、使わなくてはいけません。その主な理由は、相見積もりが必要な場合に、その見積書の依頼内容が同一のものかどうかを示すためと思われます。確かにごもっともではあるのですが、一般的にはこんな面倒なこと、まずしないですよね。

また、見積書の有効期限の取扱いも厳格です。例えば相見積もりを取ったりする際、勝った方(安かった方)の有効期限はともかく、負けた方(高かった方)の有効期限なんて、発注時に切れてたって普通は気にしないと思います。ですが、ものづくり補助金では、例え負けた方の見積書であっても、その有効期限が発注日に切れていたら再取得が必要になります。こういった理由で、だいたいものづくり補助金の一連の流れの中で見積書を2~3回取り直すといったコトはざらです。

なんとも面倒くさいかもしれませんが、こういうものだと予めご認識ください。

 


●補助金事業は誠実に

上記を踏まえて、ものづくり補助金は申請から事業完了後5年間に至るまで、誠実に向き合うという心構えが必要です。当たり前の話と言えば当たり前ですが、補助金返還のルールについては該当しないように気を付けたり、商慣習に反して煩わしいことがある前提で誠実に望んでください。

そうすればきっと問題なく補助金を獲得し、事業を成功させることが出来ると思いますので、是非この記事を参考にして頂ければと思います。

※上記内容は令和2年8月現在の内容に基づいており、最新の情報についてはものづくり補助金のオフィシャルサイトにてご確認下さい。