【第3回】ものづくり補助金の申請要件について

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【第3回】ものづくり補助金の申請要件について


第3回ではものづくり補助金の申請要件についてご説明します。


●その1:日本国内に本社及び補助事業場所を有する中小企業者であること

ものづくり補助金を申請者は、日本国内に本社と補助事業場所を有する中小企業者でなくてはなりません。ここでいう中小企業者とは具体的には下表に当てはまる会社または個人事業主のことです。

公募要領2020年8月7日版より

 

尚、前回コメントした「小規模事業者」というのは、上記に加えて、従業員が5人以下となるもの(一部の業種では20人以下となるもの)です。

また、上記で中小企業者として該当しても、下記のいずれかに当てはまる場合は、対象外となります。

  1. 発行済み株式の半分以上を同一の大企業が所有しているようないわゆる「みなし大企業」である場合。
  2. 本社が国内であっても補助事業場所が海外、あるいは、補助事業場所が国内であっても本社が海外の場合。
  3. 申請締切日前10カ月以内にものづくり補助金の交付決定を受けた場合。

【補足】補助事業場所が国内の場合でも、既に保有していることが必須となります。ですので、これから土地・建物を購入予定であるとか建設予定であるといった場合は申請できませんのでご注意下さい。

 


●その2:付加価値額の年率3%以上増加

ものづくり補助金を申請する場合は、付加価値額の年率3%以上増加も求められます。

付加価値額は、一般的には粗利益を指すと思いますが、ものづくり補助金では「営業利益+人件費+減価償却費」のことを言います。

ものづくり補助金の申請時には3~5年の事業計画(数値計画)を立てるのですが、この3~5年の期間において、付加価値額が年率3%以上増加しなさい、ということになります。

例えば、事業計画(数値計画)が3年なら3年後に9%以上、5年なら5年後に15%以上付加価値額を増加する計画ではないとダメということです。

もちろん、事業計画(数値計画)なので、良い数値を想定して作れば達成できるわけですが、そこは審査員が事業内容に対して妥当な事業計画(数値計画)かどうかを判断・審査します。

ですから、堅実な事業内容なのに、青天井な売上・利益の事業計画(数値計画)を書いていたら厳しい審査が行われるということになります。その為、数値計画は多少厳しめなくらいで良いのかもしれません。

 


●その3:地域別最低賃金+30円以上

ものづくり補助金を申請する企業は、事業所内の最低賃金が、地域別最低賃金+30円以上の水準となるようにしなければなりません。

このような賃上げ項目は以前は努力目標的な要件でしたが、本年からは必須要件となりました。

この最低賃金+30円は、3~5年の事業計画期間内維持する必要があるため、単に「今クリアしているから」というだけでは達成にはありません。

この最低賃金+30円を期間内に満たせなかった場合は、一定額の補助金額の返還が求められますのでくれぐれもご注意ください。経営状態等の一定の事由が生じた場合にこの変換が免除されるケースがありますのが、現段階では不明確な点もありますのであまりアテにはしない方が良いかもしれません。

現在の北海道の最低賃金は861円ですが、来年、再来年とこの金額が増加した場合は、その上で+30円を維持しなくてはならない点にもご注意ください。

ここで補足です。対象となるのは地域別最低賃金+30円未満の従業員だけであり、これらのものが皆地域別最低賃金+30円以上に昇給されれば、それ以外の従業員の賃金は据置でも構わないということになります。少なくとも全社員を賃上げしないといけない、というわけではないということです。

但し、ここで低賃金で働いていたものだけが賃上げされ、それ以外の賃金のものに一切恩恵がないとなると、従業員の賃金に対する不満が増加する可能性も想定されますので、職場の状況を踏まえて臨機応変な対応を行うことをお薦めします。

 


●その4:給与支給総額年率1.5%アップ

前述の最賃の賃上げ要件に加えて、給与支給総額年率1.5%アップも必須要件となっています。

こちらについても最賃の賃上げ要件同様、3~5年の事業計画(数値計画)内で達成されることが求められます。具体的には3年の計画なら3年後に4.5%アップ、5年の計画なら5年後に7.5%アップが必要ということですね。

こちらも最賃の賃上げ同様に未達の場合は、補助金の一部返還等が求められるため注意してください。

ここで最賃の賃上げ要件と異なるのは、最賃の賃上げ要件が毎年3月にその達成確認が行われるのに対して、給与支給総額の方は3~5年の事業計画終了年度に合わせて判断されるという点です。

ですので1年目が未達でも2年目・3年目で昇給をおこなえば達成OKとなることもありますし、その逆もあるということです。

また、給与支給総額については役員報酬等も含まれますので、役員報酬を一気に上げてクリアさせることも可能と言えば可能です。但し、最賃の賃上げ要件同様、従業員の賃金・給与への不満が高まるような対応はお勧めできません。その辺を御配慮いただき、適切な支給総額アップを計画して下さい。

 

以上4点が、主な申請要件になります。

他にも細かい要件がありますので詳しくはオフィシャルサイトの公募要領をご確認下さい。

※上記内容は令和2年8月現在の内容に基づいており、最新の情報についてはものづくり補助金のオフィシャルサイトにてご確認下さい。